新しいAI時代のブランディング
時代認識とブランディングの未来への洞察

テクノロジーとブランディングの進化
私たちは今、想定をはるかに超える加速度的なテクノロジーの進展を目の当たりにしています。生成AIや空間コンピューティング、ヒューマンデジタルツインなどの進化は、私たちに従来の枠を超えたクリエイティビティの可能性を提示すると同時に、変革と成長のためのコンセプトやパラダイム、次なるビジョン創出の新たな視点と手法の開発を促しています。
例えば、反応をリアルタイムに解析しながら各個人に最適化される体験、バーチャル空間で実施する理念浸透プログラム、ブランド評価の早期予測にもとづくコミュニケーション計画策定など。より動的に進化を続けるブランドの構築が、実現し始めています。
希釈化する中核概念(Identity Core)
顧客の価値観が多様化する一方で、商品やサービスは急速に同質化しています。AIの進化は、社会全体の同質化を推し進め、独自のアイデンティティ確立とは逆行する側面を持ちます。
さらに、多くの企業が目の前で続く変化への即応的な対応に追われ、“らしさ”を見失いかけています。このような社会に必要なのは、企業・組織固有の中核概念(Identity Core)を顕在化し、企業の内と外に伝わるかたちで再定義していくこと。それらが企業・組織の価値を左右するもっとも重要な要因となってきています。
人格アイデンティティの再構築
これまで日本では、市場や社会からブランドがどう認知・評価されるかという「人格アイデンティティ」の確立に重きが置かれ、マーケティング主導のアプローチが中心でした。一方近年では、不確実性が高まる現代において、企業の存在意義や社会的価値、個人の自由や幸せを問われ、内的な自己認識による「自我アイデンティティ」の確立が注目され、その表れとしてパーパスブランディング導入の動きが広まりました。
しかし、インターナルなブランディングとしてパーパスを定義し、「自我アイデンティティ」を確立しても、エクスターナルな評価を大切にする「人格アイデンティティ」との結びつきが弱く、一貫性に欠けているために良い経営結果につながらないケースが散見されます。
私たちは、「人格アイデンティティ」の重要性を再認識すると同時に、「自我アイデンティティ」との関係性を戦略的にマネジメントすることが、今求められていると考えています。