ブランディングの基本フレーム
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企業は資本家のための、利益を生み出す装置として常に高性能化、拡大化が求められてきた。IR担当者は、4半期ごとの決算に奔走している。近年のブランディングブームも、いかに企業価値を高めることができるツールであるか、というところにフォーカスがあてられ論じられてきた。ところが、気がつくと、企業は売り買いの対象となり、ロイヤリティの高い優秀な人材はどんどん流出し、今まで組織をつなぎとめていた志や精神は希薄になりつつある。ブランディングについては、実体を越えた虚像を生み出す一過性の錬金術であるかのように誤解する企業家もいる。「企業とは何なのか?」「企業は誰のものなのか?」21世紀に入り、私たちはもう一度この問いに答えるときが来たのではないだろうか。その答えの延長線上に、新しいブランディングの役割や使命があるように考えられる。
今、求められているブランディングは、大きく次の4つによって構成されているといえる。1つは、企業活動の源泉となる明確なビジョン(基本理念や未来のあるべき姿)の構築と、それが組織の背骨となるように浸透させ、それを皆が生きるという「アイデンティティ経営」と呼ばれることである。
2つ目は、企業を支えるステークホルダーのことをよく把握するということである。特定のターゲットの期待価値を把握することも含まれる。3つ目は、ターゲットの期待価値に応えるブランド約束価値の設定。そして、4つ目は約束価値をターゲットにデリバリーするためのブランドドライバーの設計である。これらの活動で、もっとも重要なことは、もちろんどのようなビジョンをもち、どのような約束価値を関係者に配達するかということである。また、これら一連のバリューチェーンは一貫性をもって全体がアライメントされる必要がある。そのためには、企業組織は横断的にこれらの価値を共有し、常にこれらの重要性について相互に確認される必要がある。
新しいブランディングは、次の7つの方程式を解くことによって深められる。本書は、それぞれの事例をこの7つの視点からとらえようとしている。
01
自らの存立理由を明確にし、社会的に正しいことをする、尊敬される礼のある企業をめざす。
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02
コア事業のスキーマチェンジによって、新しいエリアに移行し、寝ている子( 潜在顧客)を覚ます。
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03
人の共通感覚にはたらきかけ、メッセージとイメージを伝える。
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04
製品・サービスに企業の思想を込め、約束価値のメディアとしてとらえる。
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05
自らの社会的価値をメッセージし、市民が参加するような新しいコミュニティを志向する。
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06
事業や製品の複雑化によって、構造を整理し、戦略的に体系を表現する。
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07
理念や約束価値を組織に浸透させ、持続的にマネジメントする。
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