アウディは、中長期経営計画においてブランディングを重要な戦略課題として位置づけ、まずはフォルクスワーゲンとの差異化がブランドポテンシャルを高めるという仮説のもと、高級車セグメントへのリポジショニングに着手し成功。次に、自らの資源を改めて分析し世界トップを目指す。「先頭を切る」という新しいミッションのもと、きめ細かな1,000以上のプロジェクトと80ヶ国を網羅するブランドマネジメントシステムが業界のリーダーシップを生もうとしている。
世界トップへのブランディング・リーダーシップ
ブランディングの考え方
Branding Idea
すべてにわたるブランドと外観の統一
ブランディングを総合的に理解し、先鋭的な理念を持つ自動車メーカーと、メタデザインのような企業アイデンティティのコンサルタントが手を組むと、何が起きるのか。アウディのサクセスストーリーには、それがみごとに体現されている。長年のパートナーである両者は、ブランドマネジメントを経営戦略のプロセスと位置づけ、実施においてもこの文脈に従う。ブランドイメージは、企業、その製品、そして神話の、三つの相互作用から生まれる。アウディは昔からこの原理を認識してきた。創立以来、従業員は先鋭的に考え、行動し、競争の中で頭角をあらわすことを喜びとしてきた。この思想が、同社の製品とブランドをかたちづくっている。
Vorsprung durch Technik(技術による先進):高級車セグメントへの進出
アウディは1990年代半ば、フォルクスワーゲンとの明確な差別化がそのブランドポテンシャルを大きく引き上げるとの認識に基づいて、ポジショニングを見直した。新しい顧客層の獲得を期待して、新しい商品の投入が行われた。最高所得層の顧客に照準を合わせて、A8などのモデルがつくられた。メタデザインは、アウディの新しいポジショニングを視覚的に伝える役割を担った。新しいコーポレートデザイン計画と、コミュニケーションメディアのコンテンツおよびトーンを通して、アウディとメタデザインは時宜に合った効果的なブランドバリュー「人間性、優越、先見性、情熱」を発信した。「Vorsprung durch Technik(技術による先進)」というブランドスローガンに、新しい次元が与えられた。
企業
商品
企業
店頭から公式ウェブサイトまで、ビジュアルアイデンティティの一貫性が打ち出された。この作業が、企業イメージ転換への布石となった。その後の数年間にわたり、明確なイメージ戦略と、これに波長の合った商品づくりによって、アウディは高級乗用車市場においてその地位を不動のものとしていった。
“Taking The Lead(先頭を切る)”:未来へ向けてブランドの焦点を絞る
アウディはその後も引き続き、自社ブランドの位置づけとポテンシャルの分析を行った。アウディはその商品と同様、ブランドにおいてもまた、勝利の美酒に酔うことなく、引き続き新しい目標にむけてねらいを定めていった。高級車セグメントでトップの座を獲得したアウディがねらう次なる目標は、世界のトップだった。同社はまず、競合他社との差別化をきわだたせるために、2003年にブランドバリューの再定義を行った。前述の2つのミッションステートメント(商品とブランドそれぞれのミッション)にもとづいて、アウディはブランドミッションをひとつに絞って明確に定義し、これに「スポーティ・先進性・固有価値」の3つのバリューを持たせた。この新しいポジショニングをもって実行に移されるミッションとは:“Taking The Lead(先頭を切る)”。であった。アウディに乗るドライバーはいまや、アウディ製品にこうしたリーダーシップを自然と期待するようになってきた。彼らにとっては、これこそがアウディというブランドの意味するものだ。ブランドのマネジメントと適用もまた、ブランドそのものと同じく先進的な手法によって行われる。このブランドの精神にのっとって、アウディが今後にむけて掲げる全体目標は、高級乗用車ブランドの国際市場において「先頭を切る」ことである。
アウディの主たるコーポレートデザインエージェントとして、メタデザインはこの戦略的プロセスに対してコンセプトおよびクリエイティブ面の支援を行い、1,000件を超える個別プロジェクトを手がけてきた。ブランドの深い理解にもとづいた数々の独自アイデアは、ひとつの推進力となってきた。その仕事にはアウディというブランドの実態が、的確に反映されている。
成果
- *Auto Zeitung誌の2004年イメージ調査より、ドイツにおけるトップ40の自動車ブランドの中でのランキング。
- **ドイツ自動車所有者団体ADAC(Der Allgemeine DeutscheAutomobil Club)の機関誌Motorwelt、2003年12月号より。
- ***Auto Motor unt Sport誌の読者調査より、廉価車ミッドサイズクラス、ミッドサイズクラス、アッパーミッドサイズクラス、高級車クラスでの受賞。
- ****Deloitte management consultantsによる。
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- 01
- ブランディングの考え方
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- 02
- ブランドアーキテクチュア
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- 03
- 基本エレメント
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- 04
- タッチポイント
Related Case Study
- 01 スカンジナビア航空
- 02 アウディ
- 03 ウィルクハーン
- 04 無印良品
- 05 デンマーク公的機関
- 06 南チロル
- 07 オランダ軍
- 08 英国図書館
- 09 アドビ
- 10 ダンスクバンク・グループ
- 11 ヒュンダイカード
- 12 au
- 13 ヒューマングループ
Scandinavian airlines
スカンジナビア航空
- スカンジナビアらしさの本質
- 北欧3国が共同で運行する60年の歴史をもつ航空会社は、競争激化の中で経営難に直面。そのため、ターゲットをこれまでのビジネスマンから、ファミリー層にシフト、大々的なブランドリニューアルに踏み切った。そのコアになるコンセプトが「It’s a Scandinavian.」であり、スカンジナビアらしさの本質を未来の顧客の視点から見直すことであった。それは、「もてなし」であり、「ヤコブセンの椅子」であり、「食や音楽」であり、「新鮮な水と空気」であった。
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Audi
アウディ
- 世界トップへのブランディング・リーダーシップ
- アウディは、中長期経営計画においてブランディングを重要な戦略課題として位置づけ、まずはフォルクスワーゲンとの差異化がブランドポテンシャルを高めるという仮説のもと、高級車セグメントへのリポジショニングに着手し成功。次に、自らの資源を改めて分析し世界トップを目指す。「先頭を切る」という新しいミッションのもと、きめ細かな1,000以上のプロジェクトと80ヶ国を網羅するブランドマネジメントシステムが業界のリーダーシップを生もうとしている。
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Wilkhahn
ウィルクハーン
- 商品と企業の2つの次元で新しいブランドコアを
- ウィルクハーンは100年の歴史をもち、59ヶ国に展開される世界的なオフィス家具メーカーである。1980年にはウィルクハーンブームという時代を迎えるが、その後競争激化に見舞われ、他社との優位性を喪失。改めてポジショニングを商品ブランドと企業ブランドの2つの次元で見直し、新しいブランドコアとバリューを定義。すべてのタッチポイントに一貫性を与え、商品開発ではデザインコリドーといわれる固有のクライテリアとデザインガイドラインを設定し、リポジショニングに成功した。
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MUJI
無印良品
- 日本最大の流通グループの一つであった西武(西友)のストアブランドであった「無印良品」は、国内でのチェーン展開によって急激に拡大しながらも、2000年に在庫問題で経営危機に陥った。良品計画は、外部専門委員会を設置し、ブランドの根本的なところから見直し、「これでいい」というモノのある生活そのものの考え方を提案するブランドとして、商品を始め、あらゆるタッチポイントをリニューアルし、ブランドの復活に成功した。
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A coherent national brand for Denmark
デンマーク公的機関
- 王冠をモチーフにした市民のための政府と公共機関
- デンマーク公国は540万人の人口をもつ小さな王国であり、産業・文化面において強くて魅力溢れるユニークネスを発揮している。それらを支える、または象徴するようなブランド政策が、デンマーク政府(省庁)や公共サービス機関(鉄道や郵便、図書館や劇場)にある。それはそれぞれの組織が、王冠のモチーフを自由に活用する個性溢れる政府機関のアイデンティティ表現であり、市民による市民のための政府や公共機関の存在を示している。
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South tyrol
南チロル
- 農産物・観光・工業製品にブランド価値を
- いまや企業だけでなく、どの地域も激しい競争にさらされている。イタリア北部に位置する南チロル(ボルツアーノ自治県)は、自らの農産物・観光・工業製品に新しい南チロルというアンブレラブランドを冠すると同時に、南チロルのブランド価値を「アルプスと地中海、奔放さと確実性、自然と文明が共生する価値」と定義し、地域の様々な関係者がブランディング活動を推進するという運動へと発展させていった。その結果、市民の共感を獲得し大きな成果を生み出ている。
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The Netherlands ministry of Defence
オランダ軍
- オランダ国は1995年、軍隊への徴兵制を廃止した。それまで国防を存在理由にそれぞれが道を歩んできた陸海空軍が、「世界の自由、解放、安全という共通の目的のために活動する」と自己規定を行っていった。それは歴史的な選択であった。それを契機に、軍は市民から解りやすく開かれた存在としてあるために、あらゆるタッチポイントのあり方を見直し、5万人の組織を啓蒙し、ITによるアイデンティティマネジメントシステムが構築された。
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The British library
英国図書館
- 「クールブリタニア」という国家文化政策に基づき、大英博物館から分離された英国図書館を主軸に、いくつかの国立図書館が統合された。英国図書館は、自らを戦略的な国家の知的資源をマネジメントする機関として位置づけ、新しい21世紀の図書館像を提案。ブランディングをプラットホームに、サービス改革の実施とそれを支える内部の意識改革を展開。提供する価値を科学的に測定し自らのブランド価値の向上に努めようとしている。
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Adobe
アドビ
- アドビは、デザインやコミュニケーションの制作現場では欠かすことが出来ない様々なソフトを開発提供している。これらのソフトは常に18ヶ月ごとにシステムのバージョンアップが繰り返され、そのたびにビジュアル表現が変わるため、イメージの拡散とネガティブなイメージを招いていた。2003年以降、Creative Suiteの発表を機に、クリエイティブプロフェショナル層が期待する「精緻・美・願望」をコアにした製品ブランド表現の統合を実施した。
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Danske bank group
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ヒュンダイカード
- 韓国のカード市場は既に社会人一人あたり5枚所有という飽和状態にあった。どのカードも横並びで、唯一の差別化要素であった金利すらほとんど差がなかった。そこでヒュンダイカードは、利用場面や対象者に応じてサービスが異なる多様なカードマーチャンダイジングを行なった。また、経営トップの強いリーダーシップにより、イノベーションを核にした社内の意識改革と市場におけるダイナミックなブランドプロモーションを展開、シェアの拡大に成功した。
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エーユー
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ヒューマングループ
- 社会人教育・人材紹介派遣・介護ビジネスのヒューマングループは事業が多様化し急成長するなかで、グループ事業全体を統合できる自らの固有の事業ドメインの設定を必要としていた。また市場における強いアイデンティティとブランド価値を高めるために、ブランディングプロジェクトが推進していった。「成長の輪:HumanSelfing」をブランドプロミスにそれぞれのグループ企業の自主性を引き出すようなデザインシステムが導入。Selfingカウンセラープログラムも開発導入された。
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