日本最大の流通グループの一つであった西武(西友)のストアブランドであった「無印良品」は、国内でのチェーン展開によって急激に拡大しながらも、2000年に在庫問題で経営危機に陥った。良品計画は、外部専門委員会を設置し、ブランドの根本的なところから見直し、「これでいい」というモノのある生活そのものの考え方を提案するブランドとして、商品を始め、あらゆるタッチポイントをリニューアルし、ブランドの復活に成功した。
Muji
無印良品
Index
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- 01
- 「無印良品」のリ・ブランディング
「無印良品」のリ・ブランディング
Rebranding of Muji
無印良品の歴史
無印良品は1980年、西友のプライベートブランド(PB)としてスタートした。当初はしょう油やコーヒー、洗剤や歯ブラシなど40品目。専用のコーナーは設けられず、各品目の棚に他メーカの商品と並んで陳列されていた。しかし、1983年に初の直営店として青山に1号店を出店すると同時に爆発的な支持を受けるようになる。「何もない」ことを追求したそぎ落とされたデザイン群。それらが集まって一つの店舗となったとき、ある種の美しさをアピールし、消費者に時代の半歩先を示すことが可能になった。
その後、1989年に(株)良品計画となって独立し、1991年には海外にも出店。2006年2月末現在、直営店と商品供給を合わせた店舗数は国内が298店舗、海外は51店舗、商品点数は約7,000点にも上る。世界でも類を見ない幅広い品揃えと、生活提案にまで踏み込む独自のデザイン。ノーブランドとして始まり現在もその立場を崩さない無印良品だが、消費者側からの視点では、立派な人気ブランドの一つといえるだろう。
無印良品の誕生時コンセプト「わけあって、安い。」
無印良品が生まれる前、1960年代後半からスーパーマーケットはこぞってPBの開発にしのぎを削っていた。最初に売り出されたのは、「大きな利幅を狙う」という企業側の論理に立って企画された商品であった。しかし、主婦の意見を聞くためのモニター会議で缶詰のマッシュルームの無駄を指摘されたことをきっかけに、消費者の論理や視点に立った「本当の意味での生活者のためのブランドを作ろう」という意図が生まれた。こうして誕生したのが、無印良品である。
創設当時、無印良品のメインコピーは「わけあって、安い。」だった。その「わけ」というのは、素材を見直し、生産工程の手間を省き、包装を簡略化したことを指す。同等のクオリティのものに比べていかに安く作るかという目的のため、「無駄をそぎ落として本来の機能を追求する」ことで低価格を実現していった。ノーブランド商品には「安かろう悪かろう」のイメージがついて回った時代に、あえて「無印」を名乗り、その代わりに下に「良品」という言葉をつける。カタカナが氾濫している時代に、あえて漢字を使う。日本中がバブルに浮かれていた時代に、環境に配慮した商品や包装を提案する。これらの明確な姿勢と訴求性の高いデザインが支持され、無印良品は大衆に受け入られたのである。
リ・ブランディングの背景
初出店以来、時代の追い風もあって右肩上がりの快進撃を続けた無印良品。バブルの時代にもてはやされた商品とは性格を異にしていたので、90年代以降の日本経済低迷の影響は受けなかったものの、2001年度に急激に業績が悪化する。安さを売り物にした衣料品店や100円ショップなどが登場し、低価格を重視する消費者が離れていったのが大きな要因であった。誕生から約20年経ち、変化する時代の中で、無印良品にもひずみと言えるようなものが生まれていた。これまでの在り方を、改めて振り返るべき時が来ていた。
経営改革の推進とその後の復活
低迷を脱するには、まず経営システムの根本的な見直しが必至だった。一言で言うと「文化や感性だけに頼らない経営」への転換である。過去の経験から生み出した精緻な理論を最大限に利用し、経費削減を進める―たとえば収益力の悪い店舗は閉鎖し、新規出店は独自の出店基準により決定する、在庫管理や店舗作業でも適正なルールや仕組み作りを進めるなど。明確なロジックに基づき、徹底的に合理化を追求する体制を整えていった。
このような業務改革を進め、商品についても、より完成度を高めて商品力を強化した結果、(株)良品計画は2005年度に過去最高益を達成。一時の低迷を脱して、鮮やかな復活を遂げたのである。
無印良品の歴史
無印良品の誕生から25年以上が経ち、誕生当時は40品目だったアイテムは現在7,000アイテム以上を数えるまでに成長している。
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1980
- 純正はちみつ
- 再生紙詰替用ティッシュ
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1981
- バニラアイスバー
- ノンサポートタイプ
ストッキング 10足組
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1982
- クラフトノート
- 22型自転車
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1983
- 紙管ラック
- U字型スパゲティ
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1984
- 三輪車
- ベージュ食器
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1986
- カシミヤセーター
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1989
- アルミカードケース
- アルミアームライト
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1991
- 脚付マットレス
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1995
- 家電
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1998
- SUS(スチール・ユニット・シェルフ)
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1999
- アイパウダー
- 子供用紙管家具
- ベビー無印
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2000
- ベビーカー
- DVDプレーヤ
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2001
- MUJI+CAR1000
- 持ち運びできるあかり
- 電気冷蔵庫
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2002
- 土鍋おこげ
- シリコン製氷皿
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2004
- オイルヒーター
- ランドセル
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2005
- 防災セット
- ふっくら成型ソファー
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- 01
- 「無印良品」のリ・ブランディング
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- 02
- コアバリュー「これでいい」/ブランドプロモーション
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- 03
- 商品展開
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- 04
- パッケージ・デザインシステム
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- 05
- 事業展開
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- 01
- 「無印良品」のリ・ブランディング
Related Case Study
- 01 スカンジナビア航空
- 02 アウディ
- 03 ウィルクハーン
- 04 無印良品
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- 07 オランダ軍
- 08 英国図書館
- 09 アドビ
- 10 ダンスクバンク・グループ
- 11 ヒュンダイカード
- 12 au
- 13 ヒューマングループ
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スカンジナビア航空
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- 北欧3国が共同で運行する60年の歴史をもつ航空会社は、競争激化の中で経営難に直面。そのため、ターゲットをこれまでのビジネスマンから、ファミリー層にシフト、大々的なブランドリニューアルに踏み切った。そのコアになるコンセプトが「It’s a Scandinavian.」であり、スカンジナビアらしさの本質を未来の顧客の視点から見直すことであった。それは、「もてなし」であり、「ヤコブセンの椅子」であり、「食や音楽」であり、「新鮮な水と空気」であった。
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Audi
アウディ
- 世界トップへのブランディング・リーダーシップ
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Wilkhahn
ウィルクハーン
- 商品と企業の2つの次元で新しいブランドコアを
- ウィルクハーンは100年の歴史をもち、59ヶ国に展開される世界的なオフィス家具メーカーである。1980年にはウィルクハーンブームという時代を迎えるが、その後競争激化に見舞われ、他社との優位性を喪失。改めてポジショニングを商品ブランドと企業ブランドの2つの次元で見直し、新しいブランドコアとバリューを定義。すべてのタッチポイントに一貫性を与え、商品開発ではデザインコリドーといわれる固有のクライテリアとデザインガイドラインを設定し、リポジショニングに成功した。
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MUJI
無印良品
- 日本最大の流通グループの一つであった西武(西友)のストアブランドであった「無印良品」は、国内でのチェーン展開によって急激に拡大しながらも、2000年に在庫問題で経営危機に陥った。良品計画は、外部専門委員会を設置し、ブランドの根本的なところから見直し、「これでいい」というモノのある生活そのものの考え方を提案するブランドとして、商品を始め、あらゆるタッチポイントをリニューアルし、ブランドの復活に成功した。
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デンマーク公的機関
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- デンマーク公国は540万人の人口をもつ小さな王国であり、産業・文化面において強くて魅力溢れるユニークネスを発揮している。それらを支える、または象徴するようなブランド政策が、デンマーク政府(省庁)や公共サービス機関(鉄道や郵便、図書館や劇場)にある。それはそれぞれの組織が、王冠のモチーフを自由に活用する個性溢れる政府機関のアイデンティティ表現であり、市民による市民のための政府や公共機関の存在を示している。
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South tyrol
南チロル
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- いまや企業だけでなく、どの地域も激しい競争にさらされている。イタリア北部に位置する南チロル(ボルツアーノ自治県)は、自らの農産物・観光・工業製品に新しい南チロルというアンブレラブランドを冠すると同時に、南チロルのブランド価値を「アルプスと地中海、奔放さと確実性、自然と文明が共生する価値」と定義し、地域の様々な関係者がブランディング活動を推進するという運動へと発展させていった。その結果、市民の共感を獲得し大きな成果を生み出ている。
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The Netherlands ministry of Defence
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The British library
英国図書館
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Danske bank group
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ヒュンダイカード
- 韓国のカード市場は既に社会人一人あたり5枚所有という飽和状態にあった。どのカードも横並びで、唯一の差別化要素であった金利すらほとんど差がなかった。そこでヒュンダイカードは、利用場面や対象者に応じてサービスが異なる多様なカードマーチャンダイジングを行なった。また、経営トップの強いリーダーシップにより、イノベーションを核にした社内の意識改革と市場におけるダイナミックなブランドプロモーションを展開、シェアの拡大に成功した。
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エーユー
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ヒューマングループ
- 社会人教育・人材紹介派遣・介護ビジネスのヒューマングループは事業が多様化し急成長するなかで、グループ事業全体を統合できる自らの固有の事業ドメインの設定を必要としていた。また市場における強いアイデンティティとブランド価値を高めるために、ブランディングプロジェクトが推進していった。「成長の輪:HumanSelfing」をブランドプロミスにそれぞれのグループ企業の自主性を引き出すようなデザインシステムが導入。Selfingカウンセラープログラムも開発導入された。
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