デンマーク公的機関の王冠
![デンマーク公的機関の王冠](/assets/images/views/Views_Insight_fig06.jpg)
企業は、社会的な存在であるからこそ、ブランディングはその企業の存在意義を社会的なメッセージとして社会に向けて発信する必要がある。
ブランディングで提供される価値は、どんな企業や公共機関であろうとも社会的に意味のある価値であるべきである。長期的なファンドの安定的な成長への期待によって、企業のCSR(Corporate Social Response)への関心は高まっているが、本来、それらは、ブランディングとアイデンティティ経営の結果として報告されるべきものであり、IRというよりも、企業の社会的価値、顧客価値、従業員価値の総和を示すものであるべきと考える。
公的機関のブランディングは、はじめから大きな社会的なインパクトを生む。 たとえば、デンマークの公的機関(政府や公共機関)は、王冠のシルエットを使ったロゴを中心にした視覚的なアイデンティティが形成されている。
興味深いのは、それぞれの王冠がそれぞれのサービスの種類にあったデザインが隠し絵のようになされている。
たとえば、王立図書館は、王冠が本のようにデザインされている。本来、王冠はデンマークの王のためにある。それを自由にデザインし市民のために開放されている。それは、デンマークの公的機関が、自由でユーモアを認める人間的な存在に映るだけでなく、デンマークという国自体が、知的で民主的で美しい国であることを感じさせる。
世界中の政府や公営組織がデンマークのように、デザインやアイデンティティに関心をもち、美しくわかりやすいコミュニケーションのシステムを採用することが期待される。
南チロルのブランディングは、観光と地域産品(農産物と工業製品)に固有のシンボルロゴが入ることから始まった。限られたエリアの中で、地域生産者(市民)が参加することによって地域コミュニティのアイデンティティが形成されていった。
デザインやブランディングの力が、市民の参加を誘発し、やがて大きな運動として、世界中の観光客を集客することができる地域おこしができたのである。
英国図書館は、世界の知を収集しつづける人類にとって価値ある図書館である。彼らは財源を自らが集めるために、自らのサービスの価値評価の手法を研究開発し、英国の経済への貢献度を経済的な価値で明らかにしようとしている。財源である納税者=市民に自らの価値を問い、市民にその利用を呼びかけているのである。また、そのために図書館サービスとその運営体制の改革を抜本的なところからおこそうとしている。
自国の知的レベルを上げることにコミットメントしている英国図書館のブランディングとアイデンティティ経営は、利用者の市民を巻き込みながら、全世界からの英国国家の評価、イメージをあげる役割を担っているのである。
新しいブランディングは、次の7つの方程式を解くことによって深められる。本書は、それぞれの事例をこの7つの視点からとらえようとしている。
01
自らの存立理由を明確にし、社会的に正しいことをする、尊敬される礼のある企業をめざす。
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02
コア事業のスキーマチェンジによって、新しいエリアに移行し、寝ている子( 潜在顧客)を覚ます。
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03
人の共通感覚にはたらきかけ、メッセージとイメージを伝える。
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04
製品・サービスに企業の思想を込め、約束価値のメディアとしてとらえる。
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05
自らの社会的価値をメッセージし、市民が参加するような新しいコミュニティを志向する。
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06
事業や製品の複雑化によって、構造を整理し、戦略的に体系を表現する。
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07
理念や約束価値を組織に浸透させ、持続的にマネジメントする。
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